公務員の成長と大学生のキャリア教育は類似している?!
Posted on | 8月 8, 2010 | 公務員の成長と大学生のキャリア教育は類似している?! はコメントを受け付けていません。
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前回、公務員の削減ではなく公務員一人一人が成長できるような改革を進めるべきという意見を述べました。時々、私のことを公務員でいてくれたらいいといった話をしてくれる方がいらっしゃいますが、仮に自分が大学卒業後に公務員になれたとして、今の自分より経験豊かで能力の高い自分がいるとは想像できません。そのような返答を述べると、ほとんどの人が納得する反応をします。
まちづくり行政や大学生とのプロジェクト等を経験して、この公務員組織に対する学習システムの導入と、現在大学で導入が進みはじめているキャリア教育の取り組みとかなり類似するのではないか、と考えています。
一般的に大学で行なっているキャリア教育は、就職活動対策におけるイメージが強いと思いますので、私の言っていることが的外れな印象を受けるかもしれません。私が類似していると思われる点は、企業が求めている能力や社会人としての基礎的な力として考えられているコミュニケーション能力をはじめとする能力論の部分です。そして各大学はこのあたりのアプローチまでに及んでいないところが多いのが現状ですが、一部取り入れはじめているところもあります。長期的なインターンシップ制度などが最たる例ですが、まだ全体的に試行錯誤段階であり、決定打となるカリキュラムの導入には至っていません。
この過程を考察していくと、公務員の学習システム導入も同じような問題点や壁にぶちあたるのだろうと推察することができます。また、システムやカリキュラムなどの問題以上に、教える側の人材がいないことが挙げられます。うまく導入し結果を出すには、それなりの数の講師と成りえる人の確保が大事な点になります。
20代から50代までいる公務員の組織内にその世代や分野に分けて学習システムを導入し、徐々に活力ある組織へと変貌していく。そのことで自治体職員個々が地域社会やグローバルな問題解決へのレベルアップをし、創造的で行動力あるプロフェッショナルな行政組織を作り上げていくこと、そのことが公務員改革制度の中心的に行なうべきことになっていきます。
行政の運営で特に財源がないという問題点をよく耳にしますが、人材がいない、つまり優秀な問題解決能力を持っている人がいないということのほうがより深刻であり、そのためには外部から受け入れるか、もしくは育成するしかないでしょう。そして外部から招聘された人や育っていく人が、その組織内に留まり期待に応えることができるかどうかも考えていく必要性があります。人はより高いステージで活動をしてみたいという欲求を持つものです。また人は自分より優秀な人を排除したがる人も多く存在します。そうした状況も想定して、システムを導入し新たな課題を乗り越えて浸透していくまでには、相当な努力が必要とされると思います。
これはたいへんな改革でありますが、一般的な視野からは地味に見え注目を受けにくいかもしれません。
公務員改革は、削減ありきでいいのか?
Posted on | 8月 7, 2010 | 公務員改革は、削減ありきでいいのか? はコメントを受け付けていません。
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ここのところ行財政の不効率化を打開させることを目的に、政治の世界で「公務員の削減」を話題にします。公務員の削減ありきの議論は本当に考えられたものなのでしょうか。多くの国民は、公務員の削減に賛成しているようにみえて、本来の要因と違うところからすり替えられているように思えます。多くの人々からは、公務員の働きに評価できず「お役所仕事だから…」と捨てゼリフをよく耳にします。つまり「仕事ができないんだったら必要ないのではないか。」という考えが大半だということです。公務員の年収は民間平均よりも高額ですから、税金で給与をもらっている公務員に対して、仕事ができないと評価されれば、いらないといった厳しい世論が生まれやすくなります。
しかしながら、グローバル化や少子高齢化など時代の変化に伴い、公共的な仕事の必要性は増えてきています。市場原理がはたらかない分野で、社会秩序を維持するために必要な仕事が多くなっており、これらの仕事に対する問題解決や創造を伴う仕事は、現在の公務員で乗り切れない。そう思っている人が大多数であるということだと感じます。公務員の信頼は、欧米の統計よりも半分以下という結果もあり、これは非常に問題のあることだと考えられます。さらに、日本の公務員数は人口割合からも低いといえます。
実際私の経験からも「まちづくり」という公共的な仕事を担い、地方公務員の方々とも仕事をともにする機会が多くありますが、今担当エリアにおいて、まちづくりに対する貢献度やパフォーマンスと給与所得との関係は、釣り合いが取れていないとしかいえません。
公務員とは公的仕事を担うプロフェッショナルになっていくべきです。私の担っている分野だけをみても、地方自治体組織内でプロフェッショナルになる仕組み、組織内学習システムがほとんど存在していないですから、その担当者のモチベーションや才能に頼っていることになります。ですから、全くの素人が配属され担っていることになります。まちづくり分野はそれほど新しいカテゴリーではないにしろ、早急に求められはじめていますので、パフォーマンスの高い人材を如何に育て供給するかが大事なポイントになります。大卒の公務員が年齢を重ね経験と学習から成長できれば、所得以上のパフォーマンスを地域に貢献できるようになります。それが備わっていない地方自治体等の公務員制度というところに問題があると考えられます。
人が成長しない組織は、崩壊を招きはじめます。ただ人件費が高く公共的な仕事に対するパフォーマンスの低い人が配置されるために、地域住民から信用も下がり、結果不要論が出てくるこの流れは、短絡的で未来をつくることには繋がりません。よって削減ありきの議論は筋違いだと思います。また民間にできることは民間へという流れもややズレがあると感じられます。
一般的に組織内で成長を伴うシステムの導入には、それを担うべき人のリーダーシップや能力が大きなポイントになります。その覚悟とその担うべき人を守るのは市町村長や議員の仕事になってくるでしょう。これがいま一番必要な世論の方針ではないでしょうか。
課外活動が若者問題対策の一助になる
Posted on | 8月 4, 2010 | 課外活動が若者問題対策の一助になる はコメントを受け付けていません。
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先日出身高校が甲子園出場を決めました。毎回話題になる高校野球を筆頭に、学校のクラブ活動には運動系や文化系があり、小学校から大学までの世代で様々な分野による活動があります。小学生では地域のリトルリーグのような運営形態もありますが、多くは中学校にはいってから本格的にはじめる人が多いようです。
これらの教育分野は、主要と言われる教育科目とは隔たりがあり、中心的な話題になることがほとんどありません。しかしながら、アンケートの調査によると「学校時代、役になったと思う経験」を聞くと課外活動に関わったことを挙げる人がかなり多くいます。これらの経験は大きな教育効果があるという研究の蓄積もあります。
しかしその課外活動も近年は形骸化が進み、深刻な事態をまねいている学校が出てくるようになりました。原因は、指導する先生がいないことや課外活動に所属する生徒や学生の割合が減ってきているというのです。
指導教員が減少は、団塊の世代の退職に伴い一時ほとんど教員を採用しなかった時期の世代がすっぽりいないことによる教員不足や、教員の用務が増えてきたことにあります。授業だけでなく生徒指導やモンスターペアレンツの対策など、より現場が複雑な問題を持つようになりました。そして、若い教員の一部には辛い現場に対する精神的タフさがない人も増えているようです。それは、学生時代に課外活動を熱心にしてこなかった世代が教員につきはじめているということも関係していると思われます。
一方、ビデオゲームや携帯電話などデジタル世代の子たちが、泥まみれになって活動を積極的にさせるような家庭環境がなくなってきていることもあるでしょう。部活動よりも塾に通うといった考え方をもつ家庭も多くなっていると思います。景気が低迷し就職難の時代、少しでも我が子の将来のために、まずお勉強という心理状態が働いてくると考えられます。また貧困格差が課外活動への障壁となすこともあります。活動をするには、道具を買いそろえたり遠征を行なったり何かとお金がかかるものものです。それらを捻出できない家庭も増えてきている原因もあるでしょう。
様々な影響や原因が考えられますが、課外活動への参加が減ってきていることで、10代のときのコミュニケーション機会数や質の経験を得られていないとしたら、大変な状態になっていくことが推察できます。課外活動へのテコ入れが有効な対策になるのではないでしょうか。