江口 彰 Laboratory

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北海道で展開するカタリバの特徴

Posted on | 6月 3, 2013 | 北海道で展開するカタリバの特徴 はコメントを受け付けていません。

北海道でカタリバが広まって3年目に突入しました。全国では、関西地区や沖縄などでも着実に広がってきていますが、それぞれの地域事情が異なることもあり、それぞれ特色がでてきている状態になってきています。

北海道ではこれまでに(2013年5月末時点)、12校の学校で実施し23回のカタリ場を行なってきました。これからも実施校が伸びる予定で、各地の高校から連絡が来ています。

北海道のカタリバの特徴は、一つに地方の小さな高校からのニーズが高いことです。一つないし二つしか高校がない地方自治体は、高等教育機関がなく、18歳以上から20歳代前半の人口ががくんと減っています。これは地方自治体の人口ピラミッドを調べてみると一目瞭然で、大半の自治体が同じような現象を抱えています。中高生の生徒さんは、自分よりもちょっと年上の世代と触れ合う機会がありません。そのため、自分の近未来について具体的なイメージをつけにくいことや、きっかけが少ないため、それを一時的にでも補完できる空間としてカタリ場を求めているといったことがあります。もちろん、他の理由で札幌圏内の大きな高校からも注目されはじめていますが、このニーズは首都圏や関西圏とさほど変わらない感じがします。

しかしながら地方展開する上で最大の障害になるのは移動にかかるコストの問題で、広い北海道全域をカバーするにはたいへん困難な土地柄だといえます。移動するにあたる交通費の実費分は、当団体の努力という範囲外になりますし、お金だけでなく時間がかかることも大きなネックになっています。大学生にとっては、早朝から夜遅くまで時間を確保しないと遠征には参加できません。札幌近郊であれば、午前中だけ・午後だけの時間で参加できるのですが、遠方ではそうはいきません。参加学生は、大学の授業のみならず、アルバイトやその他の活動を調整しないと関われないとなってしまいます。さらに、札幌から日帰り圏外である高校の数は、現在91校存在します。この91校を実施するには1泊する必要があり、宿泊費・バスなどのチャーター1日分が増額され、とても小さな地方の高校では出費できない金額に跳ね上がってしまいます。今この対応策を講じるべき試みをスタートしはじめたところです。

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そして、この遠征というシステムが他の地域のカタリバとは異なる大きな特徴といえます。カタリバ北海道がカタリ場を開催するその日の行程はだいたい以下のような流れになっています。朝7時から8時半頃に札幌駅に集合。その後移動して11時頃には学校近郊まで到着しお昼ご飯を頂きます。そして学校に入りカタリ場を実施。終了後のミーティングを終えて高校を出発するのがだいたい17時頃です。その後また札幌まで移動するのですが、晩ご飯をどこかでとったり、温泉にいくというオプションもその行き先によって旅程に組み込んだりします。札幌到着は20時から23時頃になります。この行程は、日帰りの修学旅行を実施しているようでたいへん楽しいのですが、回数が多くなってくるとかなり酷な仕事ともいえます。

今後はこの遠征のシステムをどう工面していくか。これがカタリバ北海道の特徴といえますし、今後他県で展開していく大きな実験的試みなのかと思われます。

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