公務員改革は、削減ありきでいいのか?
Posted on | 8月 7, 2010 | 公務員改革は、削減ありきでいいのか? はコメントを受け付けていません。
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ここのところ行財政の不効率化を打開させることを目的に、政治の世界で「公務員の削減」を話題にします。公務員の削減ありきの議論は本当に考えられたものなのでしょうか。多くの国民は、公務員の削減に賛成しているようにみえて、本来の要因と違うところからすり替えられているように思えます。多くの人々からは、公務員の働きに評価できず「お役所仕事だから…」と捨てゼリフをよく耳にします。つまり「仕事ができないんだったら必要ないのではないか。」という考えが大半だということです。公務員の年収は民間平均よりも高額ですから、税金で給与をもらっている公務員に対して、仕事ができないと評価されれば、いらないといった厳しい世論が生まれやすくなります。
しかしながら、グローバル化や少子高齢化など時代の変化に伴い、公共的な仕事の必要性は増えてきています。市場原理がはたらかない分野で、社会秩序を維持するために必要な仕事が多くなっており、これらの仕事に対する問題解決や創造を伴う仕事は、現在の公務員で乗り切れない。そう思っている人が大多数であるということだと感じます。公務員の信頼は、欧米の統計よりも半分以下という結果もあり、これは非常に問題のあることだと考えられます。さらに、日本の公務員数は人口割合からも低いといえます。
実際私の経験からも「まちづくり」という公共的な仕事を担い、地方公務員の方々とも仕事をともにする機会が多くありますが、今担当エリアにおいて、まちづくりに対する貢献度やパフォーマンスと給与所得との関係は、釣り合いが取れていないとしかいえません。
公務員とは公的仕事を担うプロフェッショナルになっていくべきです。私の担っている分野だけをみても、地方自治体組織内でプロフェッショナルになる仕組み、組織内学習システムがほとんど存在していないですから、その担当者のモチベーションや才能に頼っていることになります。ですから、全くの素人が配属され担っていることになります。まちづくり分野はそれほど新しいカテゴリーではないにしろ、早急に求められはじめていますので、パフォーマンスの高い人材を如何に育て供給するかが大事なポイントになります。大卒の公務員が年齢を重ね経験と学習から成長できれば、所得以上のパフォーマンスを地域に貢献できるようになります。それが備わっていない地方自治体等の公務員制度というところに問題があると考えられます。
人が成長しない組織は、崩壊を招きはじめます。ただ人件費が高く公共的な仕事に対するパフォーマンスの低い人が配置されるために、地域住民から信用も下がり、結果不要論が出てくるこの流れは、短絡的で未来をつくることには繋がりません。よって削減ありきの議論は筋違いだと思います。また民間にできることは民間へという流れもややズレがあると感じられます。
一般的に組織内で成長を伴うシステムの導入には、それを担うべき人のリーダーシップや能力が大きなポイントになります。その覚悟とその担うべき人を守るのは市町村長や議員の仕事になってくるでしょう。これがいま一番必要な世論の方針ではないでしょうか。